デジタル移民

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SNS2007年02月08日~2008年11月10日より転載〕

デジタル原住民

研修でも話をしてきた「デジタル原住民 Digital Natives」を取り上げたNHKスペシャルが、いま放送されている。アメリカでは2006年に社会現象として議会でも取り上げられた。もちろんビジネ ス界でも大きな注目を集めていたものだ。世界のトップ企業500社から参加した経営幹部たちがラスベガスで会議を開いたことも記憶に新しい。

日本でも、デジタルネイティブを取り上げた特集がテレビで放送されるくらいに世の中が変わってきたということだ。二年前に、某業界団体のマーケティング委 員会で話したときに、皆さんはどこまで変化を認識され、ビジネスに活用されてきたのでしょうか? 某社長は、「デジタル移民になりなさい、ということです ね」と私に確認された。そのとおりである。

50代以上の世代は活字文化に育ち、生まれたときからテレビがあった世代とは文化が違う。いまは、少年時代からインターネットがあった時代に育った人が増 えてきている。そういう若者をデジタル原住民という。その先頭集団が日本でも76世代といわれ、新しいビジネスを生み出してきた。

40代以上の人は、デジタル原住民ではないが若い世代のエネルギーなしにビジネスはできないのだから、優秀な人材を確保し育てる上においても、デジタル原 住民の文化を知らなければ、時代に取り残されますよ。原住民いはなれないのですから、デジタル移民にならない限り、これからの、いや今のビジネスのありよ うは分かりません・・・というのが私のメッセージである。

三日後の研修でも、改めてリーダを目指す人たちにメッセージを発信したいと考えている。物事の見方、考え方がしっかりしていないと、手法だけに捉われることになり、進むべき方向を見失う危険があるということだ。

「アメリカは違う」といっている人は、聞く耳と学ぶ心を持っていないということに気づいて欲しい。いまテレビを見ながら書いているが、アフリカのウガンダ でも少年がSNSを使った活動をしている・・・ということを紹介している。一日に何十回もSNSで情報を発信し、メールやチャットもして世界の友だちと話 し合っている・・・ということだ。

こういうことは聞いたり読んだりするだけでは分かりません。自らが行動しないと、いま世界で何が起きているかが分からない。それが分からないと、日本での ビジネスも仕事も分からないという時代である。英語が分からなくても、情報は日本語で入手できる。ほぼ即日で諸外国の情報が日本語に翻訳されている。そう いう作業なしには、日本のメディアも生き残れないということである。

SNS2008年11月16日より転載〕

NHKスペシャル「デジタルネイティブ」の再放送があったので録画しました。デジタル原住民たちにとっては、現実と仮想の世界はひとつの世界です。それだ けでなく仮想の世界で、会ったこともない世界の大人たちを使ってビジネスをする中学生も存在します。13歳のCEO(最高経営責任者)が起業して三ヶ月で 1000万円を売り上げているという話などが紹介されています。

クリントン下大統領たちが参加する国連主催の国際会議に、世界の若者たち2000人が招待されてSNSでの活動を発表した、元ソニーCEOの出井さんたち 世界の経営者たちが参加する起業家会議で、ビジネスモデルを説明し出資を求める発言があったことなどは記憶に新しいことです。

現実の世界でしか生活していない人やビジネスの経験のない人は想像もできない、仮想世界での人生、ビジネスが拡大していることを認識させてくれることでしょう。私が話してもみんなは信じない(笑)

 

86歳のデジタル移民

今日は、デジタルネイティブではなく「デジタル移民」がやっているビジネスの話を紹介します。〔SNS2008-01-18〕

日本の82歳と86歳のおばあさんの話です。毎日パソコンに向かって、市場での商品取引価格をチェックしたり、昨日の自分の売り上げや競争順位を見たりしています。 売っているのは野山に自生する植物の「葉っぱ」です。年収は1000万円、サラリーマンの息子や孫のために家も新築したという。徳島県の過疎の高齢化が進んだ町のおばあさんたちがやっているビジネス。

このビジネスの仕組みを作ったのが横石知二で2007年の「世界を変える社会起業家100人」に選ばれている。 これは有名な話で、村おこしのヒントを得ようとして、日本全国から見学者が訪れる。昨年12月に放送された番組「日経スペシャルカンブリア宮殿」の一部を録画しました。見られなかった人は参考にしてください。自分のこれからの生き方や事業のやり方、高齢化社会のあり方、医療費の削減のあり方など考えさせられることがたくさんあります。

バラマキ・ハコモノ行政の失敗

こちらのビデオは、10年前当時の小渕首相が視察に訪れ、全国的に有名になった「電脳村」の話です。現在どういうことになっているかを紹介しています。村にとっては迷惑な話でした。国や自治体、そして企業が、住民や顧客、社員の満足度を高める施策を考えるときのヒントを与えてくれます。「葉っぱ事業」と「パソコン普及」、どちらがソリューション提案になっていますか?自治体だけでなく、営業や事業に携わる人向けの良い教材になります。

 

デジタル移民の情報ギャップ

~小さな箱から抜け出よう~ 〔SNS2007年02月08日より転載〕

社内外の人々と接して常々思うのは、世代間の情報ギャップである。40代以上の経営に関与する権限と責任を持った人(以下幹部社員)と第一線で働く若い世代(以下デジタル原住民)との間にある意識と情報のギャップである。

1.デジタル移民とデジタル原住民の壁

シリコンバレー企業では世代を超えて同じ仲間として老若男女が一緒に働くのが基本であり、仕事を離れた付き合いも多い。そのため意識や情報の共有が自然 となされる。しかし、いまの日本のビジネス社会ではどうだろうか? 仕事も個人生活もデジタル世界なしには語れない時代、デジタル移民になりきれない幹部 社員層とデジタル原住民の間には大きな断層がある。それが組織で仕事をするときの障壁になっているのだと思う。

これを解消する手段として有効なのが、上意下達から参加型、情報共有から感情共有型への移行と穏やかな人間関係の構築をサポートすること、流行の言葉で いえばSNSインフラとそこへの参画意識の醸成であるが、それは別の機会に述べたい。まず、「意識と情報の断層がある」ということの共通認識をしたい。な ぜそういう思いを深めたのかということである。

2.YouTube知っていますか

昨年、請われるままに「ソフト変革の波」の一環として、営業プロセス変革や情報感度、経営マインドなどの講演をした。その前提知識として、いま世の中で 注目されているバズワードの意味するところや新しいビジネスについて紹介した。その結果、私にとってショックだったのは「平井さんの話に出てくる言葉の 2~3割しか知りませんでした」といったアンケートでのコメントであった。同時にそうした謙虚な意見に感謝した。

YouTubeやMySpaceという時代の寵児的な存在さえ知らない人が、40代以上の企業の幹部(多くが情報に鋭敏な営業)のなかで9割も占めてい たのには正直驚いた。これからのITソフト・サービス事業に与える影響を議論できるような状態ではない。WikiにしろSaaSにしろ、それらは現象で あって、大事なのはそれを支える技術と生み出される市場であり、社会・経済的波及効果であるが、それを議論できる状態ではなかった。

3.LAMPを知っていますか?

こうした驚きは最初ではない。二年前にSE幹部社員向けの「商談推進研修」の講師を、延べ30回、500人くらいを対象に務めたが、そのときに同じよう なショックを受けた。たとえば「LAMP」という言葉を知っている人は一割もいなかった。「ビールゲーム」を知っている人は皆無に近い…という事実に直面 して哀しくなった。

LAMPは、Webサービス開発・運用環境(オープンソースの代名詞的存在)であり、Yahoo!や楽天のインフラの一つ。Beer Gameは、経営の基本である「全体最適」の重要性に気づか
せるために、新人研修でも実施しているもの。デジタル原住民は知っているが、幹部社員は知らないという非可逆現象が起きている。多忙のため研修に参加した り、人と対話することが少なく、学習の機会がないのではないか。売上の5%は社員教育に再配分して、研修を維持・強化するのがマネジメントであろう。

4.デジタル原住民は

いわゆる76世代の前後を先頭集団としてデジタル原住民の人口が増えてきた。その世代の人は、先ほどのYouTubeやLamp(これはIT分野の人中心)は当然知っている。

先月の「Web勉強会」に来ていた大手航空会社担当の、26歳の営業の人と2時間近く立ち話をした。YouTubeやWikiどころかParis HiltonやBritney Spearsも、昨年の新人たちと同様に知ってい
た。彼とは話が弾んだ。対話ができた。そんな組織風土が大切だと思う。それがJQAという経営の教科書が教えることの一つでもある。

5.デジタル移民の勧め

オフィスでワイワイガヤガヤ(ホンダの企業文化)だけでなく、デジタル時代のネット社会での見知らぬ人たちとの世代・組織・国境を越えたワイガヤが、日本でもデジタル原住民にとっては当たり前になってきている。

彼らとは違う世界を歩んできた幹部社員であっても、デジタル移民になって、デジタル原住民が話す言葉を理解する努力がもとめられる。そして、双方が対話 できる組織は強くなる、ということを認識すべきである。そうした認識をもたずに人材(デジタル原住民)の採用や育成を論議することは虚しい。

このことを経営とITに係わるコンサルタントも、十分に認識して、顧客企業のお客様(企業・消費者・住民)の視点で考えていかなければいけない。自分の 得意分野を強化するとともに、これまで以上も広い視野をもって、現実と仮想の両面世界でのリレーションを構築し、情報の発信と意見交換をする習性が求めら れる時代である。

xx専務もおっしゃっているように「xxxグループ以外の人の名刺を何枚持っていますか?」が問われる。そして、いまや名刺だけでなく、ネットで気軽に意見交換ができ、相談できる人、その道の識者を何人知っていますか?が問われる時代であろう。

平井克秀 2007.02.08

〔参考〕
・「小さな箱から抜け出よう」
http://groups.google.co.jp/group/out-of-the-box
・「箱ーGetting out of the box」
http://home.elmblog.com/management/001044.html

≪余談≫
「家に帰ったら奥さんや子供さんにYouTubeを知っているか聞いてください」と件の講演のあと参加者に言った。ある企業の社長は、早速奥さんに携帯 電話をかけて聞いた。「xxさん、女房は知ってましたよ。それどころか子供と一緒に良く見ているそうです!いやーまいった」という。この人は経営者の資格 がある、すぐ行動に移して知らないことを知る努力をされている。研修でかならず参加者に聞くのは「知識とはなんですか?」「情報とは?」という質問であ る。意外とみんな答えられない。それを知らないでどうして「情報共有」とか「知識エンジニアリング」が組織にとって大事だ、といえるのだろうか? みなさ ん、「知識とは何か」を考えてみてください。